2017年3月8日水曜日

マンモグラフィ検診と高濃度乳房

マンモグラフィ検診や超音波検査、画像診断について
最近のニュースで、マンモグラフィ検診を受ける際、高濃度乳房の場合に「異常なし」とだけ報告しているが、それでよいのか? という記事を見かけました。

元医学書編集者として気になったので、今回はちょっと一言まじめな話です。
ちなみにイラストは昔描いた画像診断系のキャラクターです。

このニュースの要点としては、検診を推奨されている40歳以上の方でも、乳腺が発達している、いわゆる「高濃度乳房」の場合は、医師が読影する際(レントゲン写真を見て診断する際)腫瘍などが判別しづらいという事実があり、それを単純に「異常なし」とだけ通知してしまうことの是非が問われている、ということらしいのです。


これは単純に考えれば、マンモグラフィではなく「乳房エコー(超音波)検査」を選択することによって、早期の腫瘍が見つかる可能性がありますので、被検者の利益を第一に判断すれば当然「伝えるべき」だと思います。またMRIも一つの選択肢になるでしょう。

ただ現状では、自治体ごとに判断がまちまちで、国の指針としても曖昧な部分であり、伝えたり伝えなかったりということなので、検討していこうという流れのようです。


日本癌学会の作業部会がまとめた現状の課題点としては、
  1. 全員に通知すると、超音波の追加希望者は膨大な数になる
  2. 外来に殺到すると、診るべきがん患者を診られない
  3. 超音波を加えると、結果的にがんではない多くの人を再検査対象に拾い上げる
  4. 検査を行える熟練した技師の数もまだ十分でなく、環境整備に多額の費用がかかる
こうした問題があるにせよ、それも含めて「事実」として「高濃度乳腺であること」そして「早期発見のために他の検査方法があること、そのうえで医療者側の課題もあること」を伝えるべきではないでしょうか?

事実としての情報を知って、判断するのは被検者側であるはずです。これを統一した方針がないからなどの理由だけで、作為的に伝えないということはあってはならないと思います。

検査をする受け手側の勝手な都合や諸事情で伝えないというのは、個人的にどうしても納得がいきません。一番納得できないのは、せっかくマンモグラフィ検査を受けた被検者の方でしょう。

もう一度、先ほどの課題点を見てみます。
  1. 全員に通知すると、超音波の追加希望者は膨大な数になる
  2. 外来に殺到すると、診るべきがん患者を診られない
  3. 超音波を加えると、結果的にがんではない多くの人を再検査対象に拾い上げる
  4. 検査を行える熟練した技師の数もまだ十分でなく、環境整備に多額の費用がかかる
1と2は杞憂だと思います。3と4は確かに問題でしょうが、体制が十分整うまで待っていては、いつまでたってもマンモで拾い上げられなかった人が増えていくだけでしょう。

ただ4に関連していうと、マンモも超音波も、それを撮影する「技師」の方の熟練度の差が、かなり診断の精度に影響してしまう事実があります。

レントゲン(X線)写真にしっかり写っていなければ、それを診断する医師(主に放射線科医)が見つけられないのは当然のことです。

ということで、個人的には、しっかり撮影できる技師を着実に増やしつつ、それとは別に伝えるべき事実は実情とともにしっかり伝える、そんな方向に向かえば良いのではないかと思います。