2017年1月18日水曜日

遠藤周作と狐狸庵

遠藤周作と沈黙の映画化についてのイラスト
遠藤周作の「沈黙」がハリウッド映画として公開されるらしいですね。

私は学生時代の一時期、遠藤周作の本ばかり読んでいました。とっかかりは、いわゆる狐狸庵ものと呼ばれる「ぐうたらシリーズ」やその他のエッセイものでした。しばらくして、「沈黙」を含めて三部作といわれる「海と毒薬」「深い河」、大衆文学としての「おバカさん」や「へちまくん」「彼の生き方」など読み、それからは彼に関するものを手当たり次第に読んでいきました。

読んでいて特に感じることは、三部作のような純文学系の作品とそれ以外との明暗の落差です。比較的ライトなエッセイや大衆文学を執筆している時、いたずらっぽい「狐狸庵」としての顔を見せているのですが、その一方で、全体に重さと暗さが漂い続ける純文学を執筆しているときの「遠藤周作」としての顔はずいぶんと違います。当然と言えば当然かもしれませんが、この明暗の落差が激しい気がします。

ただ、よく考えると深い部分では繋がっていて、そのアプローチの仕方が違うということなのでしょう。底流にある主要なテーマとしては、「イエス・キリスト」と彼が幼い頃にお仕着せで洗礼を受けたキリスト教に対する葛藤と希求といったもので、それがどのように作品として表出しているかという違いだけの気もします。

ただ、個人的にはいたずらっぽい笑顔の狐狸庵先生の作品が好きです。特にどくとるマンボウこと北杜夫との掛け合いのあるエッセイは大好きで何度も読み替えました。「人は自分と同じレベルでしか他者を理解できない」と聞いたことがありますが、私はつまり狐狸庵レベルということで、それでいいと思ってます。