2017年1月17日火曜日

とある外科医の先生の集中力

外科医が持続的集中力で校正作業を行う様子のイラスト
医学書編集者時代のエピソードです。

あるとき動画付きの手術書を担当したことがありました。入稿日が迫り、最終的な著者校正をお願いした時のことです。忙しい先生にとっていただいた時間は夜の6時ごろから。プリントした校正紙の束を抱えて医局に同い、膝詰めの校正作業を行いました。

動画と写真と文章の突き合わせをしなければならないので、なかなか密度の高いハードな校正が続きます。時間は深夜0時を回りました。精神的にもしんどくなってくるのですが、校正をしている先生は実に淡々かつ着実に作業を進めていきます。集中力にムラがなく常に一定レベルで持続させている感じです。その様子は実に頼もしく、お陰で時間はかかりましたがスムーズにすべての校正を終え、なんとか無事入稿することができました。

これは後から振り返って思うことですが、外科医ならではの持続的な集中力を校正の際にも垣間見れたような気がするのです。もちろんすべての先生ではないかもしれませんが、いつアクシデントがあるかもしれない状況で、狭く不明瞭な術野をかきわけ鉗子を動かし、ときに長時間に及ぶ手術を遂行している外科医は、その特性を校正作業にも表していたのだなと思うと実に興味深く思えるのです。

ちなみに先生は校正時にキャップのついたペンを、またすぐ使うのに一回ごと開け閉めしていました。もしかするとこれも外科医ならではの道具の使い方と関係するのでしょうか…。
その後この思い出深い医局は、残念ながら古い建物だったため取り壊されて、今では立派な高層ビルに建て替えられています。